FLOWERレター 「かわいい」の作り方
こんにちは。フローリストの小室です。今回は私たちがとても大切にしている「企画づくり」のお話。
最近お問い合わせで「ブーケ名に感心しています」「黒ネコの落とし物、最高ですね!」という、ありがたいお声をいただきました。純粋に嬉しいのはもちろん、この方のかわいいセンサーに触れられたのかな?と、ほくほくした気持ちになります😌
FLOWERは、かわいいブーケをお求めやすい価格で提供することを徹底しているお花屋さん。もちろんお得に提供するための工夫もがんばっていますが、一番重要なのは「かわいい」だと考えています。
でも、そもそも花はかわいい。どんな組み合わせでも。もはや何もしなくてもかわいかったりします。その上、FLOWERじゃなくても、スーパーや町のお花屋さんなど花を買える場所はたくさんあります。もともとかわいくて、気軽に手に入るのが花。
だからこそ、FLOWERならではの「かわいい」がないと、みなさまに選んでもらえないと考えています。「少し大げさでは...?」と思うかもしれませんが、私たちフローリストはこのことに日々向き合いながらブーケを作っています。
そのために、フローリストひとりひとりの「超主観的かわいい」をFLOWERでは大切にしています。自分が自信を持って「かわいい!ほしい!」と思えるものでなければ、誰かの「ほしい!」も生み出せないからです。
例えば、人気ですっかり定番ブーケになった「森のお散歩スワッグ」は当時2歳だった息子とのお散歩の思い出から生まれたブーケ。森の中を歩きながら、木の実や葉っぱなどいろんなものを両手いっぱいに拾う2歳児。
そんな姿がかわいいな、この光景をブーケにしたらどんなものになるかな?と想像しながら作りました。
夏のブーケ「レモネード」は、一見主役のひまわりの品種名「レモネード」をそのまま使っただけ。でも実はお花たちにレモネードの「おいしさ」をたっぷり詰め込んであるんです。
私は夏に飲むレモネードが大好き。シュワッとはじける炭酸をレースフラワーでイメージしつつ、「ミントも添えたら爽やかで美味しいんだよな〜🌿」と組み合わせたマウンテンミント。さらに「甘すぎないのも美味しいポイント🍋」と、エッジの効いた小花を組み合わせたり。もはや脳内では飲み物を作っていました(笑)
冒頭でもご紹介した「黒ネコの落とし物」は、我が家の猫たちがモデル。
猫をモチーフにしたハロウィンのかわいいブーケを作りたいな〜と観察していると、もこもこのしっぽがだんだんとパープルマジェスティに、ぴんっとした耳はカラーというお花に見えてきました。猫が息子のおもちゃを隠れて集めているのも知っているので、そんな姿をブーケに閉じ込めて。
ここまで読むと、なんだかいつもブーケ作りがうまくいっているみたいですが、もちろん失敗した経験もあります。
その名も「ピンクのふりふりブーケ」。色合いや組み合わせはかわいいんです。だから「なんとなくかわいいかな?」と思って作ったのですが、購入者はなんとゼロ(すぐにお花を組み替えて別のブーケとして販売したので廃棄はせず🙌)。
たしかに花は何をしてもかわいい。でも、「なんとなく」作ったブーケは、実はかわいくないのです。
作り手のこだわりは、細かいところまでは伝わらなくてもいい。でも、みなさんのかわいいセンサーのどこかに触れるには、そんな「見えないこだわり」がとても重要だと考えています。
こんなことを考えるようになったきっかけは前職での経験。勤めていた会社が運営する料理のレシピサイトには、毎日たくさんの「誰かの家庭の味」が集まっていました。
同じ「からあげ」でもみんな違い、ひとつひとつのレシピに「作り手」のこだわりが詰まっています。例えば、家族の健康を考えておからを使った唐揚げ。生姜好きな娘のために作ったスパイシーな唐揚げ。洗い物が一切ないお手軽な唐揚げ。油を使わないのに本格派な唐揚げ。
そんな自分だけがおいしいと思う料理、大切にしたい思い出の味、身近な人を想ったひとつのレシピに、たくさんの共感が集まっていたのがとても印象的でした。
何かを生み出すときにまず大切なのは、きっと「最も個人的であること」。そこから共感が生まれて、新しいトレンドにすらなるかもしれません。「みんなが好きそう」「これが流行りでしょ?」となんとなく作ったものは、実は誰も好きじゃなかったりする。
まずは自分が一番かわいいと思うものを作る。それがFLOWERを見に来てくれた人に伝わる。こんなに嬉しいことはありません。
この秋もかわいいブーケをたくさんお届けしますのでお楽しみに。みなさんのお気に入りが見つかったらぜひ教えてください!